耳で聴く本屋さん

他人の夏

内容紹介

海岸にあるその町は、夏になると都会から海水浴客がつめかけ、他人の町になる。でも、そこで生まれ育った慎一には他人事でしかない。彼は工業高校に進学するため、ガソリン・スタンドでアルバイトに励む。ある日の深夜、仕事を終えた慎一は久しぶりに海で泳ぐ。かなり沖まで来ると、すぐ近くの暗黒の海面に、夜光虫の仄かな光の煙をきらめかせて、何かが動いている。「だあれ、あなた」と若い女の声が呼ぶ。