耳で聴く本屋さん

温情の裕かな夏目さん

内容紹介

小説『社会百面相』やトルストイ『復活』の翻訳など、明治期から大正期に活動した作家の随筆。夏目さんは作から見れば西洋趣味の人と想像されるようだが、座右の物は支那趣味の人だった。原稿紙も支那風で万年筆を愛用したが、ブリウブラクのインキが嫌いで、セピアのドローイングインクを好んだ。原稿は極めて汚かったし、句読の切り方は目茶だった。そのくせ書にかけては文壇で第一の達人だった。