耳で聴く本屋さん

指と指環

内容紹介

男は内ポケットに秘めた指環に相応しい指を探す偏執狂だった。今日も一日中、東京中のあらゆる階級の女の、あらゆる指を見て、最後に銀座のカッフェにいる女給の中から探ろうとした。ピアニストを志す愛人彰子のために三年間のパリ滞在中に買った指環だが、彼女が死んでしまい、落胆と悲哀の中で第二の手を探し始めたのだ。給仕女と話している時、ふとコーヒーを飲む婦人の指を見た男は・・・。