耳で聴く本屋さん

Kの昇天ー或はKの溺死

内容紹介

私はあなたからの手紙でK君の溺死を知り、彼は月世界へ行ったと思った。K君とは療養地のN海岸で知り合った。ある満月の晩、砂浜で海を眺めていると、奇異な人影が見えた。声をかけると、彼は阿片のごとき自分の影を見ていたと言う。月夜に影とシューベルトの『ドッペルゲンゲル』に憑かれるというK君は、影の自分はやがて人格を持ちはじめ、ある瞬ヤから月へ昇っていく、と微笑んだ。