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坂下の露店で番をする「ぼく」。初夏の日、店先に立った若い女の日がさが突風にさらわれ、風車のように青空高く舞い上がる。女はだれかが拾うだろうとあきらめて去り、ぼくは自分の物を自分の物と言えない世の中を悲しく思う。午後、駅への道では、やせこけた馬が汗にまみれて重い荷車を引きかねていた。馬子がたづなを引いても、馬は大地にしがみついて動かない。遠まきに見物するばかりの人垣をかき分けて、まきゲートルの若者が進み出る──。