耳で聴く本屋さん

断崖の錯覚

内容紹介

大作家を志しながら、臆病で何の経験も持てずにいた二十歳の青年が、冬休みに訪れた海岸の温泉地の旅館で、宿帳にある新進作家の名前を記入してしまう。「先生」と呼ばれもてなされるうち、喫茶店の少女・雪と出会い、おそい初恋に落ちる。雪は彼を本物の作家と信じ、二人は結婚の契りを交わして一夜を明かす。翌朝のぼった旅館の裏山で、雪が借り物の名前で呼ぶ。真実を告げられぬまま、幸福が崩れていくのを感じ、彼は断崖の上に立っていた。