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目黒区内の寺々を訪ね歩いた体験を書いた随筆文。目黒に移住して六年、筆者は区内の旧跡を巡っている。目黒には十六の寺院があり、それぞれに由緒がある。芝居で名高い人物の墓、明和の大火を引き起こした悪僧の逸話、薩摩芋普及の功労者の墓など、訪ねるたびに興味深い歴史と出会う。しかし遊女の艶話は語り継がれても学者の功績は忘れられがちだと筆者は惜しみ、各段の末尾には寺にちなんだ短歌を静かに添えている。