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丘の半腹に建つ古い別荘へ独り移り住んだ田宮峰二郎。文学と画を志し、家は富み、心優しい人柄ながら、いつも物思わしげに野や林をさまよっていた。牛乳屋の童や水車場の老翁、街の風物に親しみながら、別荘での一年半を過ごす。ある秋の朝、田宮は翁に住まいを引き払い、アメリカ、欧州へ旅立つと告げる。実はかつて恋した松本治子との仲を親に許されず、恋を断ち天職に生きようと自らを欺いてきた末の決断であった──。