耳で聴く本屋さん

大阪の憂鬱

内容紹介

終戦直後の闇市と化した大阪について書かれた随筆。香りも味も失せた実用一辺倒の街に成り下がったと著者は嘆く。梅田や鶴橋など五つの闇市場では金さえ出せば主食も闇煙草も夜中に手に入り、警察の一斉取締りで大乱闘が起きても煙草は涼しい顔で売られ続ける。焼け残った京都の美しさと対比しつつ、汚なく「ややこしい」街を歩き、売られる蛍に古女房を想う。逞しく復興する盛り場の力を、著者はある痩せた青年の食慾に重ねていく。