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東京の御堀端をめぐる三つの思い出をつづった随筆文。第一話「柳のかげ」では、明治期、桜田門外の路ばたに繁っていた五、六株の柳が往来人のオアシスとなり、甘酒屋や氷屋、後押し稼ぎの立ちン坊が集った情景を回想する。第二話「怪談」は、二十歳の雨の夜、堀端で背後から白地に桔梗の単衣を着た若い女に付け回された不思議な体験。第三話「三宅坂」は二十六歳のとき、人力車の衝突から外国人の二頭立て馬車の下敷きになってしまった話が語られる。