耳で聴く本屋さん

橡の花

内容紹介

季節の湿気で精神が不健康になった「私」は、電車の響きが勝手に下品な音楽に聞こえ、車内の人々がその音楽に乗って嘲笑しているように感じていた。人の視線を勝手に意識したり、太いズボンや赤い靴、髪型や服装に苛立ち、俗悪さに激しい嫌悪を覚えてしまう。ある婦人の服装を憎み、「致命的に恥を与える言葉」まで考えつくが、それは相手を不幸にするほど残酷だと気づき、投げつけることはしなかったものの、ぎりぎりのところで生きていた。