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癌を患う「私」と妻が、再発への不安を抱えながら生きていく様子を綴った私小説。乳癌の手術と放射線治療を終えた妻・素子が、二か月ぶりに退院して家に戻る。 「私」も上顎腫瘍で通院中で、夫婦ともに「全治」を望めない癌患者である。 家族そろってささやかな退院祝いをし、素子もビールを一杯だけ飲むが、「いつ暴れ出すか分からない癌」を体内に抱いたまま笑っている妻の姿に、私は断崖に立つような恐怖を覚える。