耳で聴く本屋さん

大きなかしの木

内容紹介

広野の中に、誰も年齢を知らないほど長く立ち続けている、大きな一本の樫の木がいた。その木は、周囲の木々が小さいため話し相手もおらず、長いあいだ黙って暮らしていた。かつて近くにいた木々の「親世代」はすでに枯れ、残った若い木々も昔を知らないため、樫の木は完全に孤立していたのだ。若いころの樫の木は美しく、銀色に光る葉をしなやかに揺らしていた。しかし、年を重ねるうちに気難しくなり、葉の色もくすみ、性格も暗く、無口になった。やがて他の木々をうらやみ、「どうして自分には花が咲かないのか」「なぜ鳥や蝶が自分のところに来ないのか」と不平を言うようになる。