耳で聴く本屋さん

女神

内容紹介

旧い知人の細田氏は、大戦前の記憶では、いつもポマードを塗った漆黒の髪に、新しい形の縁無し眼鏡をかけ、しゃれた格好をした男であった。しかし、久しぶりに会った彼は軍服のような服を着て、丸坊主で、無精ひげもはやしており、以前とは様子が一変していた。そして、唐突に「私は、正気ですよ。正気ですよ」と言ったかと思うと、「あなたと私は兄弟だ」「私たちの母は実は私の妻だ」と言いはじめた──。