耳で聴く本屋さん

柿色の紙風船

内容紹介

五年前、病院で時価三万五千円のラジウムを肛門に挿んだ患者が失踪するという事件が起きた。実は、あの患者は私である。事件当日、便所でラジウム入り容器を取り出し病院を脱出した私は、日本橋の某百貨店で万引きをして逮捕された。それも計画のうちで、その日から警察の保護を受けたわけである。やがて懲役五年の判決が出て、ラジウムを隠し持ったまま刑務所に移される。刑務所で紙風船を作る作業を続けていた私は・・・。