耳で聴く本屋さん

内容紹介

その人にまた逢うまでは、とても重苦しくて気骨の折れる人、もう滅多に逢うまいと思う。その人にまた逢う時には、何だか予感のようなものがある。出がけの時はうんざりする。その人は体格のよい身体をしゃんと立てて腰を掛け、何だか分からない楽器を奏でている。母から届けるよう頼まれた仕立物を差し出すと、目礼して受け取り、何も言わず、再び楽器を奏で続ける。私の不思議な苦しみはこれから始まる。