耳で聴く本屋さん

魚の餌

内容紹介

十年前の戦争中のことだが、今でもあの子供たちのことを思い出す。その頃、僕は毎日、防波堤で魚釣りをしていた。ある日、防波堤の外側で竿を出していた僕が餌箱を見ると、ゴカイがいなくなっている。見廻すと、その子供たちは内側に腰かけている。小さい方の子供は僕と視線が合うと、急に怯えた表情になる。兄の方は黙って釣糸を垂らし浮子を眺めている。僕は意地悪く、暫く視線を離さないでいたが・・・。