耳で聴く本屋さん

お時儀

内容紹介

三十路の売文家・保吉は日々の生活に追われ、明日は考えても昨日を思い返すことは滅多にない人物だが、5・6年前に避暑地の停車場で会ったお嬢さんの面影はよく覚えていた。当時の保吉はプラットフォームでよく見かける彼女に親しみを感じ、自然と目で追っていたのだ。ある日のこと、午後の時間帯の電車に乗った保吉は偶然お嬢さんとすれ違い、反射的に頭を下げる。するとお嬢さんもお辞儀を返してくれ……。