耳で聴く本屋さん

月夜のけだもの

内容紹介

動物園の月夜、わたくしは檻の前のベンチに腰かけていた。あたりが煙のようにぼうっと霞むと、いつのまにか獅子が立派な黒いフロックコートを着て二本足で立ち、奥さんの獅子から金頭のステッキを受け取って、夜の野原の見回りに出かけていく。檜林のへりで、獅子は白熊を呼びとめる。白熊は誰かを捜しているというが、相手の名を忘れたといって、灰色でざらざらした体、三つの瘤こぶ、長く伸びてくるりと曲がった鼻といった特徴を並べ立てると──。