耳で聴く本屋さん

かんかん虫

内容紹介

南ロシアの港町で船底の錆落とし労働に従事する最底辺の労働者「かんかん虫」たちの世界を描く。八月のドゥニパー湾、灼熱の太陽の下、荷船オデッサ丸に繋がれた運搬船の舷に、私と親分格のヤコフ・イリイッチは並んで座っていた。昼休みの間、豹のような目をした大男のヤコフは、独特の口調で語り始める。船の胴腹を叩くから「かんかん」、それはわかる。だが「虫」とは何だ。人間は人間だろう――。