耳で聴く本屋さん

父の出郷

内容紹介

夏以来、私は病気と貧乏で惨めだった。郷里の妻からの手紙も、二女が入院するなど、いいことはない。一緒に暮らす息子のFは傷みやすい少年で、どうかすると泣きたがる。私は涙を見ると凶暴性が爆発してしまう。息子の涙は火の鞭であり、呵責の暴風だった。息子を妻の許に帰すことを決めて弟に託す。彼らが出て行った直後、妻から電報が届くと、父親が死んだと早とちりしてしまう。父親は借金を片付け、身一つで青森から上野にやって来たのだ。