耳で聴く本屋さん

ある男の堕落

内容紹介

Yを初めて見たのは米騒動の頃で、集会の席で無遠慮な様子と田舎っぽい格好が印象に残った。彼は新宿で鍛冶屋をしていた。私たちが滝野川に引っ越してからYは頻繁に訪れるようになり、無学でありながら物分かりの良い労働者として興味深く観察していた。しかし次第にYの無遠慮さは増し、わざと泥足で縁側を歩いたり火鉢に唾を吐いたりするようになった。